ファムの人形物語

市松人形

自分が出店する催事では、なかなか他の出展者のブースをゆっくり見る時間がありません。

そんな中、ドールワールド・リミテッドの会場を気忙しくざっと見て回ったら、愛らしい一体のお人形に目が留まりました。

市松人形

松乾斎東光さんの自由人形です。

市松人形

実は代官山に骨董店を開く前、市松人形を集めていた時期があります。
その頃はアンティーク・ドールのブリュが1千万円を超えるという時代で、とてもそんな人形には手が出ないと思っていたので、それならば日本人形の好きな物をと、三つ折れ人形を集めていました。

お金を貯めてはせっせと京都の人形店に通い、懇意になってからはお値段が張る物は分割払いにさせて頂いたりしました。

永徳斎という人形師の三つ折れ人形は特にお気に入りで、代官山のショップを構えてからは、お店のマスコットとしてお客様をお出迎えしてもらいました。

それほど可愛がっていた市松人形たちだったのですが、ある時知人の骨董店から全部購入したいという申し出があり、その時イギリスに贅沢な買い付けが出来る金額だったので、涙を吞んで市松人形を売却しました。

お店の奥の棚がガランとして、テーブルの上に積まれた札束を見た時、自分の子を人身売買したかのように思え、泣きながら帰宅したのを憶えています。

それ以来人形を扱うまいと封印していたのですが、馴染みの若いお客様から「レースを扱っているなら、お人形が好きなのでは…?」と、痛い所をつつかれました。

その直後に母と行ったヨーロッパ旅行で、またお店のマスコットになれば…と一体のドイツ人形を手に入れ、それからまた私の人形狂いが再燃しました。

市松人形
 
和と洋を同時に追いかける事は無理と、西洋一本に絞って仕事をしてきましたが、「瞳 HISTORICA」の監修の折に『羽根の禿』という和洋折衷のお人形を制作した時に、久しぶりに和の色や素材に接し、また自分の中の日本人のDNAを再確認しました。

今回の展示会で出会った市松人形。
また私の中で沸々と湧き上がるものがありました。 これが新しいご縁となるのでしょうか?

愛らしい瞳が私に何か訴えているように感じます。


※写真撮影及びブログとインスタへの掲載については、松乾斎東光さんのご了承をいただいております。



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